保険の入れ歯と、保険外の入れ歯の材料の違いとしては、プラスチックか、チタンやコバルトクロムなどの金属か、弾性レジンか、という違いがあります。
保険の入れ歯では、アクリル樹脂やスルフォン樹脂というレジン系の材料、簡単に言うと、プラスチックが材料として使われています。
そこに金属でできた針金がくっついていて、歯に留めるようになっています。
しかし、材料的にプラスチックというのは、そんなに強度があるわけではありません。
皆様の身の回りの物を考えて頂ければご理解いただけるかと思いますが、プラスチックの物は、ちょっと重たいものを載せたり、踏んだりしてしまうと、割れたりヒビが入ったりしますよね?
保険の入れ歯はこれと同じような素材でできているので、薄く作ってしまうと、咬み合わせの力に負けて、バキッと割れてしまったりします。
その為、咬み合わせ力に負けないよう、保険の入れ歯では、ある程度以上の分厚さが必要になってしまうのです。
またプラスチックというのは温度をあまり通しません。ですので、熱いものを食べても、お口の中の粘膜の入れ歯に覆われているところは、あまり温度を感じずに過ごしてしまいます。これが「入れ歯にしてからあまり食事がおいしくないなあ」という感覚に結びついてしまうのです。
やはり冷たいものは冷たい、熱いものは熱い、とその美味しさを感じながら食事をしたいですよね。
それに対して金属床の義歯では、入れ歯の裏側などを金属で作ります。
金属は当然のことながら、プラスチックよりもとても硬いため、咬み合わせ力で割れてしまう、ということはまずありませんので、とても薄く作ることが出来ます。
金属床は薄く作るので、お口に入れた時の異物感がとても少なく、発音も行いやすいです。
また、精度がプラスチックよりも高いので、密着感、くっつき力もプラスチックよりも優れています。
そして金属のもう一つの大きな特徴として、温度を伝えやすい、ということが挙げられます。
金属は熱しやすく、冷めやすいですよね。
これはお口の中に入れた金属床入れ歯にもあてはまります。熱いものを食べると、入れ歯の金属自体も熱くなってくれて、お口の粘膜で温度を感じることが出来るため、温かい味噌汁を飲めば温かいと感じ、ざる蕎麦を食べれば冷たいと感じることが出来ます。
これがプラスチックの入れ歯よりも美味しい食事につながります。
もう一つの種類の保険外の入れ歯、ノンクラスプデンチャーに関してですが、これは保険のプラスチックと似た見た目ながら、弾力があり、指で力を入れると、グニグニと変形させることが出来ます。
それによって、銀色の針金の部分をなくして、その部分もピンク色の素材で作ることが出来ます。
そのため、ノンクラスプデンチャーは、つけた時の見た目がとてもきれいです。また、グニグニとした変形の為、装着感が保険のプラスチックのものよりも良い、ということも挙げられます。